えほんのいずみ

絵本「おいしいぼうし」のあらすじや随想

 この絵本について―ユニークで笑える絵本

作・絵:シゲタサヤカ

出版社:教育画劇

出版社の対象とする読者年齢:
          3・4歳~/小学校低学年~/小学校中学年~

出版年月日:2013年4月26日

定価:1,210円(本体1,100円)

 
 はじめに


   人気絵本作家・シゲタサヤカさんの作品はユニークでユーモラス。年齢を問わず読者

   の皆さんを楽しませてくれます。本書もユーモラスで温かな展開。

   
   他に作者の絵本『まないたにりょうりをあげないこと』『りょうりをしてはいけない

   なべ』『コックのぼうしはしっている』(以上、講談社)などのコックシリーズや

   『キャベツがたべたいのです』(教育画劇)は、小学生への読み語りでも喜ばれます。

   
   
 あらすじと随想


   仲の良い老夫婦が主人公です。


   

   ある朝、おばあさんは家の前の木に引っかかっている、何だか茶色く透けているもの

   を見つけ、おじいさんに“あれをとって来て!”と頼みました。

   そこでおじいさんは、丸くてちょっとベトついて、甘い匂いのする不思議なものを

   取ってきました。


   

   そして事もあろうに、「なあ ばあさん、なめてみようか」と提案したのです。

   ふたりがおそるおそるなめてみると、「おい!」「しい!」

   そこで、おじいさんとおばあさんはその不思議においしいものを朝食にちょっぴり食

   べ、お昼にはもう少し沢山食べ、夕食にはワインも用意してたらふく食べました。


   

   ところが、その晩のこと、帽子を失くしたと言うプルプルの大きなプリンが、帽子を

   探しに来たのです。

   その時おじいさんとおばあさんは、今日二人で食べた、あの丸くて大きくて不思議な

   ものは、その子の帽子だったと気づきました。

   しかし、帽子を失くしてさめざめと泣いているプリンに、「もうほとんど食べてし

   まった!」とは、とても言えません。

   さて、二人はこのピンチをどのようにして切り抜けるでしょうか。

   そそっかしいおじいさんとおばあさんの慌てふためく姿、食べちゃった帽子を何とか

   しようと、二人が一生懸命になる姿が、最後までほほえましくユーモラスなナンセン

   スストーリィです。


   
   
 随想とまとめ


   本書は主人公のおじいさんとおばあさんのバランスがとれ、仲睦まじい会話でストー

   リィが展開していきます。

   昔話の「桃太郎」のように、川から桃を拾ってくるおばあさんに重きが置かれたり、

   「ねずみ浄土(おむすびころりん)」のようにねずみ穴に落ちるおじいさんに重きが

   置かれたり、「舌切り雀」のように優しいおじいさん対意地悪なおばあさんという性

   格付けもありません。


   

   本書の冒頭では、おばあさんがおじいさんに“ねえ ねえ おじいさん、ちょっと起き

   てちょうだい。表の木に奇妙なものがひっかかっているのよ。今すぐ見て来てちょう

   だい”と働きかけ、寝ていたおじいさんが「んー あー?」としぶしぶ木に登って、そ

   れを取って来ます。

   次に、じっくり観察したおじいさんが「なあ ばあさん、なめてみようか」と言うと

   「ええ、何だか気味が悪いけど・・」と、おばあさんも同意するのです。

   美味しさに驚いた二人は、三食それを食べた後、“ああ、美味しかった・・残りはま

   た明日食べましょうね、おじいさん”“ああ、美味しかったな、ばあさん。わしは夢

   の中でも食べたいくらいじゃ”と、寝てからもその話で盛り上がり、とても幸せそう

   です。


   

   ところが、夜中に訪ねて来た大きなプリンが、帽子が見つからずに号泣したので、お

   じいさんは“まずい!まずいぞ ばあさん!わしらのせいじゃ!だから今すぐに・・・”

   と、焦りました。するとおばあさんもその言葉を受けて「そ、そうだわね!すぐに準

   備だわ」と協力体制を整えました。

   二人の会話が実にスムーズで心地良いのです。

   やがて、帽子問題が解決してプリンが帰って行く時には、おじいさんはバナナをお土

   産に持たせ、おばあさんも「また、帽子をなくしたらいつでもいらっしゃいね」と親

   切に言葉をかけます。


   

   この絵本の読み語りをすると、愉快な老夫婦のテンポの良い言葉のキャッチボール

   が、一層その場を盛り上げるのです。

   もし仮におばあさんがおじいさんに“「なめてみようか」なんて、あなたが言うから

   いけないのよ”などと言ったら、二人の連携プレーはうまくいかなかったでしょう。

   現代の「昔話」のように、老夫婦の仲睦まじい対話が楽しめるのも、この絵本の良さ

   に違いありません。


   
   

プロフィール

ネッカおばあちゃん

カテゴリー

  ねこ   クリスマス

クリスマス絵本一覧

COPYRIGHT © えほんのいずみ ALL RIGHTS RESERVED.

▲ ページの先頭へ