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絵本「十二の月たち スラヴ民話」のあらすじや随想

 この絵本について―継母と継娘の昔話

再話:ボジェナ・ニェムツォヴァー再話

文・絵:出久根育 

出版社:偕成社

出版年月日:2008年12月

出版社の対象とする読者年齢:5歳~

定価:1,980円 (本体価格 1,800円)

 
 はじめに


   本書は、スラヴ民話が基になっています。

   民話自体はかつて児童劇「森は生きている」にもなりました。

   数ある類話絵本の中でも本書は、画家・出久根育さんのすばらしく美しい絵と主人公

   の信仰心が魅力的です。

   
   
 あらすじと随想


   あるところに、お母さんと二人の娘がいました。姉のホレナは母親の実娘でしたが、

   妹のマルシュカは継娘でした。母親はホレナをたいそう可愛がり、マルシュカにはつ

   らく当たりました。継娘が実娘より美しかったため、嫉妬から継娘に家事一切をさせ

   たのです。


   

   一方、ホレナは着飾って怠けていたので、益々醜くなりました。

   そして、マルシュカを何とか家から追い出してやろうと、雪の降る一月に、山ですみ

   れを摘んでくるようにと理不尽な難題を出したのです。継母も家の戸を堅く閉めてし

   まいました。そこでマルシュカは泣きながら雪山へと向かいました。

   ひどい飢えと寒さから、神さまに、おそばに召してくださいと祈りました。


   

   すると、その時、遠くにたき火が見えました。

   たき火を囲んでいたのは十二の月をつかさどる十二人の男たち。

   マルシュカはあまりの寒さに、たき火にあたらせてくださいと頼み、すみれを探して

   いる事情を話しました。

   すると、「三月」がすみれを咲かせ、マルシュカに花を摘ませてくれたのです。

   彼女は丁寧にお礼を言って帰りました。


   

   すると継母もホレナも、マルシュカが冬山ですみれを摘んで帰ってきたことに驚きま

   した。

   しかし、ホレナは次にマルシュカを雪山へイチゴ摘みに、さらにはリンゴを採りに行

   かせました。そのつど彼女は「十二の月」に助けられ、おいしいイチゴやリンゴを

   持って帰ったのです。


   

   ところが、ホレナはもっとリンゴが欲しくなり、今度は自ら雪山へ出かけました。し

   かし「十二の月」に出会っても礼儀をわきまえなかったので、たちまち吹雪にみまわ

   れ、マルシュカと神を呪って雪山で凍えてしまいました。

   その後ホレナを心配して迎えにいった母親も、雪に埋もれました。

   マルシュカは、二人の帰りが遅いので心配し、神さまに祈って待ちましたが、二人と

   も、とうとう帰ってきませんでした。

   その後、マルシュカは・・・。


   
   
 随想とまとめ


   この物語では、季節や大自然の力が「十二の月」に擬人化されていますが、その背後

   には、自然をつかさどる神さまの存在があります。

   マルシュカは、家族から理不尽な虐待を受け、孤立無援だったゆえに、より篤い信仰

   が与えられたのかもしれません。そして神さまも、助けを求め続けたマルシュカを守

   り抜きました。

   彼女に共感して絵本を読む皆さんは、ほっとすることでしょう。

 
   

   私事ですが、私自身も一歳の時に生母が病死し、マルシュカ同様に継母との確執を抱

   えて育ちました。
        
   たくさんのことを継母に教わりましたが、どんなに人間ができていても、継母は実娘

   に、継娘より幸せであってほしいと願うものなのかもしれません。

   実父も常に後妻の味方で、「お継母さんのことを悪く言ったら、おまえとは絶縁だ」

   の一点張り。

   これは東北地方の昔話「手なし娘」と似ていると思い、自分だけ学費を払ってもらえ

   ないなどの理不尽な差別を受ける度に、試練を糧にしてわずかでも成長できたらと望

   みました。


   

   私はマルシュカのように篤い信仰心もなく、愛に満ちた者でもありませんが、神さま

   が私を守り最善の道を示し、今もずっと支え続けてくださっていることに、ただ感謝

   しかありません。

   陰で常に励ましてくれた祖母の言葉も、本当にありがたかったです。

 
   

   昔話が子どもを心理的に安定させ、励ます理由のひとつとして、多くのお話で、主人

   公がハッピーエンドを迎えることが挙げられるようです。

   実人生においては、私たち一人ひとりが主人公なので、たとえその時その場に試練が

   あっても、それこそが自分らしい学びと工夫のチャンスなのかもしれませんし、人生

   は最後までおもしろくて味わい深いと思えるような、ハッピーエンドに期待したいと

   思います。


   
   

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