えほんのいずみ

絵本「かえるのかさやさん」のあらすじや随想

 この絵本について―雨の楽しさを満喫する

作:戸田和代

絵:よしおかひろこ

出版社:岩崎書店

出版年月日:2003年5月30日

定価:1,320円 (本体価格 1,200円)

   
 はじめに


   昨年のことですが、図書館に本書の貸出を申し込んだのは梅雨入り前でした。それが

   やっと拝借できたのは、梅雨が明け猛暑が始まってからのこと。それほど借り手の多い

   人気の絵本ですので、是非その楽しさを味わってみましょう。 

   作者・戸田さんには、他に『きつねのでんわボックス』(金の星社刊 単行本と絵本版 

   があります)『たまごさんがころんだ』『バスガエル』(いずれも佼成出版社)『だん

   まり』(アリス館)『ぽっつん とととは あめのおと』(PHP研究所)などの作品

   もあります。


 あらすじと随想


   主人公は、雨の日がだーいすきなかえるのかさやさん。

   朝、雨音で目をさますと、急いでお店に傘を並べます。それから雨音を楽しみなが

   ら、着替えをしたりごはんのしたくをしたり。

   日によって雨の音は違います。ぽとぽと・・ざあざあ・・・。

   かさやさんは、うれしくてたまりません。

   
   でも、お客さんがなかなか来ないので、赤い傘をさして散歩にでかけました。

   傘に当たる雨音が心地良いというのに、知り合いはだれも傘をほしがりません。かえ

   るのおかあさんは、洗たくものがぬれると雨の匂いがしてうれしいと言い、ぬれるの

   が好きなとかげくんも、つゆ草さんも、かさを買ってくれないのです。

   かさやさんはしょんぼりしながら、ぽつぽつ とつとつ ぱららん らんらんと雨音

   を聞きました。今までにない斬新な傘を作りたいと密かに願うかさやさんでした。

   

   その時お店に来たのは、ハリネズミさん。ハリネズミさんは、雨もりのする穴あき傘

   を修理してほしいと、たくさん持って来たのです。 

   「えっ、どうしてこんなにいっぱい穴があいたの?」

   かさやさんはびっくりしましたが、「こんな傘、作りたかったんだ」とうれしくなり

   ました。

   そしてハリネズミさんの傘を全部引き取り、新しい傘と交換してあげたのです。

   さて、かえるのかさやさんのお店は、その後どうなるでしょうか。

   おもしろい展開は、是非絵本でご覧ください。

   

   
   
 随想とまとめ


   本書は画家よしおかひろこさんの絵が可愛くてとても魅力的です。

   よしおかさんの他の作品には、戸田さんとのコンビで『カエルののどあめやさん』

    『カエルのうらめしやさん』などもありますが、現在は品切れのようですので図書

   館などでご覧ください。

   

    子どもたちは本書のどの場面も念入りに見て、どんな傘があるのかを確かめたがりま

   す。キリン傘、カメ傘、カタツムリ傘、トリ傘にアイス傘まであるのです。

   ところが、ハリネズミさんが修理してほしいと持ってきた傘は、雨の中でさすと“ほ 
  
    どど どどど”と豪快な雨もりがしました。

   

   話は変わりますが、息子の幼稚園時代のエピソードです。

   息子が、使っていた傘を壊してしまったので、誕生日にゴロピカドンの青くてかわい

   い傘をプレゼントしました。しかし彼はその傘を振り回して遊び、2日後にまた

   壊してしまったのです。私はせっかく買ってあげたのにとがっかりして怒り、放って

   おきました。

   すると息子は父親に頼んでお古の傘をもらいました。虫喰いのように小さな穴が幾つ

   もあいている黒い傘。おまけに大人用なので、使いにくそうです。しかし、短気な母

   親が怒っているのを知っていたので、彼は我慢してそれを使おうとしました。穴のあ

   いたところには、ビニールで覆った大好きなウルトラマンの絵を内側から貼り、家

   の中でも傘を小さなテントに見立てて遊んだのです。ちょっと健気でした。
 
   そんな息子の様子を見ていて、私も、壊れたゴロピカドンの傘を早く復活させな

   ければと思いました。そして傘屋さんを探し修理してもらったのです。

   傘が直ると息子は喜んで、今度は傘を宝もののように大事に扱いました。

   
      
    この絵本でハリネズミさんの穴あき傘は、雨を完全に遮断できないゆえに、雨好きな

   仲間に愛用されました。かさやさんが雨のさまざまな魅力を知っていたからこそ生ま 
 
   れた、とてもすてきなアイディアでしょう。

   豪雨は困りますが、本書はいろいろな雨音があることや、雨音の楽しさに改めて気
 
   づかせてくれる絵本だと思います。
   
   
   
   
      

プロフィール

ネッカおばあちゃん

カテゴリー

  ねこ   クリスマス

クリスマス絵本一覧

COPYRIGHT © えほんのいずみ ALL RIGHTS RESERVED.

▲ ページの先頭へ