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絵本「きょうというひ」のあらすじや随想

 この絵本について―今日を大切にしたい絵本
                                                     

文と絵:荒井良二
 
出版社:BL出版 
  
出版年月日:2005年12 月 1日
 
定価:1540円(本体1400円)
        
                         
 はじめに


   清々しい絵本です。 

   本書は、場面を追うごとに今日という日の喜びが輝きます。  

   文章と絵の織り成す透き通った言葉に、心が揺り動かされます。 

   読み終わったとき、今日を生かされていることの意味がしみじみと実感できる絵本だ 

   と思います。
  
   荒井さんの作品はすでに当ブログでも112『はっぴぃさん』、114『あさになったので

   まどをあけますよ』などをご紹介しましたが、本書も読者の心を澄ませ、元気のもらえ

   る絵本でしょう。 

   
 あらすじと随想


   主人公は、髪をみつ編みのお下げにしたキュートな少女です。

   彼女の過ごしたきのうの晩、雪が降りました。 
 
   静かに しずかに ふりました。

   絶え間なく夜の深さを埋めていく白い粉雪。

   しかし夜が明けると、雪景色がまばゆい朝日に照らし出され、朝がやってきました。
      
   まぶしい今日という日のはじまりです。

   

   少女は今日のために編んできた緋色の新しいセーターを着ました。
     
   緑色の帽子と青いマフラーも、今日に合うように編んだのです。
   
   部屋に灯した赤いロウソクの火は明るく、今日という日を静かに照らしています。 
 
   
 
   少女は心をはずませて、外にも小さなロウソクの入る家をいくつもいくつも作りまし

   た。
                       
   ちょうど小さなかまくらのようなろうそくの家です。

   外はほっぺたが凍りそうなほど冷たい空気。

   雪の家にロウソクを灯すと、炎がゆらめきます。
 
   少女は、その炎が途中で消えないように心から祈りました。

   他の人が灯したろうそくの光も消えないように、そして祈りも消えないように祈りま
   
   す。
   
   今日という日の命はほかの日とは比べられません。

   たくさんのろうそくが命の輝きのように灯り、夜にはまた新しい雪が降り始めました。

   

   
  

 随想とまとめ


   湯西川温泉の「かまくらまつり」に一度行ってみたいと思いながら、何年も経ってし 

   まいました。 

   寒さの苦手な私は、まだ実現できないままです。 

   きっと湯西川には、この絵本に描写されるようなたくさんの小さなかまくらと、灯さ 

   れたろうそくのゆらめく、美しい雪景色が広がっているのではないでしょうか。 

   小さなかまくらは、ろうそくの灯される命の家のようです。 

   戸外に灯されるろうそくは、たとえ雪の家の中でも、炎が風に揺らぎ消えそうになる

   ことがあるでしょう。

   

   今日を迎えられるのは有難いことなのに、感謝もせずにあたりまえのように過ごす

   ことの多い不遜な私です。

   それにもかかわらず、「いつも喜んでいなさい」という聖書の聖句(テサロニケへの

   第一の手紙5章16節)は、「いつも喜んでいなければならない」という義務感ではな

   く、「いつも幸せであってほしい」という、神さまから私たちへの御愛であると聞い

   たことがあります。

   祈りは天への感謝であり、導きに委ねる願いであり、希望でもあるのでしょう。

   だからこそ少女も、今日の”祈りが消えないように“と心を込めて祈るにちがいあ

   りません。

   せっかく天から与えられた今日という日。たとえ試練の時であっても、今日は今日を

   味わっていけたらいいなと思います。そして感謝と願いと希望とを込めて祈って

   いきたいです。

   読むたびに、大切なことに気づかせてくれるのが、この美しい絵本です。 

    おとなになってからの方が心に響く、詩的な作品かもしれません。

   

   
                                                                 

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